これまでは「3年いなければその会社のことは分からない」というのが常識でした。しかし最近は求職者優位の売り手市場が続いており、3年経たないうちに新たな環境へ飛び込む人も増えています。そういう人たちを見て「これだからゆとり世代は…」と嘆く人を見かけますが、これは単純に世代の問題なのでしょうか。
転職へのハードルがグッと下がっているのはもちろん、労働環境や条件も離職者を増やす原因の1つとなっています。ブラック企業という言葉が当たり前になり、さまざまな状況が明るみに出るようになりましたが、まだブラック企業がゼロになった訳ではありません。
中には労働環境がハードで常に人材不足に悩まされている職業もあります。それが看護師です。人が足りていないと現状いる人たちの仕事量が増え、休めるタイミングも限られてきます。ハードな環境でずっと働いているうちに心身ともに疲れてしまい、せっかくの人材が辞めてしまう、そして残った人たちの仕事量がまた増える…といった負の連鎖がなかなか止まりません。また、看護師は女性が9割を占める仕事。どれだけがんばっていたとしても結婚や出産を理由に辞めざるを得ない人もいます。こういった退職が続くと、自然と就業者人口も減ってきてしまいます。
労働環境を改善するため、派遣やパート・アルバイトといったさまざまな雇用形態を設ける機関が増えてきました。看護師の転職をサポートするスーパーナースを見ても、そういった多様な働き方を後押しする看護師求人がたくさん掲載されていることが分かります。看護師は引く手あまたで、ブランクがあったとしても歓迎してもらえるくらい求人の選択肢はたくさんあります。「今の状況がよくないから看護師を辞めてしまおうかな」という決断をする前に、転職を検討してみるといいのではないでしょうか。
離職率が上がっていることを教育方針のせいだけにしてはいけません。世の中の流れ的に、仕事もプライベートも大事にしたいと考える人が増えてきたという事実にも目を向けるべきです。もし離職を食い止められないのであれば、勤務制度の見直しなどを行ってみましょう。これまでのものがベストと考えるのではなく、時代の移り変わりなどをうまく反映させながら制度改革をしていくのが大事です。